園試処方とは?

  • 養液栽培の基本となる処方であり、多く作物に適用できる汎用型の処方である。
  • 肥料メーカーは園試処方に準じた内容で配合肥料を製造していることが多く、単肥設計においても園試処方をされることが多い。(後述参照)

園試処方の組成バランス

園試処方の組成バランス


※組成バランスとは全窒素の肥料濃度を10とした時の各要素比率、人間でいう食事の栄養バランス
注:上表には原水由来の肥料成分は含まれていない。

  • 給液EC1.0で全窒素(アンモニ態窒素+硝酸態窒素)が約100ppm、給液EC×100の全窒素が供給される。
  • 使用原水が純水、精製水であれば多くの作物は園試処方大きな問題く生育させることができる。
  • 成分にクセのある原水を使用すると、培養液の組成バランスを崩してしまい、作物の生育、品質、収量に影響を及ぼす恐れがでてくる。

アグリワークスが提案する分析コンセプト

分析コンセプト

上記3つの成分は、地下水はもちろん浄水にも含まれていることが多く、施肥設計を組むにあたって考慮しなければいけない大きな要因です。
原水分析の際はこの他EC・pH・硝酸態窒素も分析します。

補完分析


作物の生育が悪い時は排液、培養液(NFTや湛液)の分析を行います。
排液分析は培地の中数値化して見ることができるので、何が吸収されて何が残っているかを判断することにより、適切な追肥を提案致します。

各地の原水分析データ

各地の原水分析データ

各地での事例 基本分析

C県浄水データ
平成23年にアグリワークス(株)で分析

C県浄水データ


ECは高くないがカルシウム、硫酸イオンが多く含まれており、EC管理が低いイチゴでは施肥設計に大きな影響を及ぼしてしまう。

改善前イチゴ(C県A川水系浄水使用高設栽培・ロックウール)

カリウム、カルシウム、マグネシウムの比率が高く、拮抗作用によりカリウム、マグネシウムの欠乏症が起こる可能性がある。硫酸イオンの比率も高いで、培地内ECを上げてしまい、根が特に弱い「さがほのか」では育成に悪影響を及ぼしてしまう。また、微量要素濃度も少ないので欠乏症の懸念がある。

改善前イチゴ

改善後イチゴ(C県A川水系浄使用高設栽培・ロックウール)

提案ではカルシウム、硫酸イオンが少ない肥料を使用することにより多量要素の組成バランス改善(組成バランスの赤字→青字)を行った。また、ワンタンク肥料は微量要素を強化しているので、欠乏症の懸念を解消した。

改善後イチゴ

改善前トマト(C県B川水系浄使用養液栽培・ロックウール)

カリウム、マグネシウムの比率が高く、カリウムの拮抗作用によりカルシウム欠乏(尻腐れ、芯止まり)が起こる可能性がある。硫酸イオンの比率も高いので、排液のECだけを測っているときは要注意。また、マンガンが若干少ないので上中位葉の黄化にも注意が必要。

改善前トマト

改善後トマト(C県B川水系浄使用養液栽培・ロックウール)

カリウム・マグネシウム、硫酸イオンの比率を改善すべく2種の配合肥料を組み合わせ是正をした。また、MEPO-6(複合微量要素)を追加し微量要素濃度の調整を行った。

改善後トマト

各地での事例各地での事例補完分析S県 イチゴ高設栽培の排液分析データ

平成29年にアグリワークス(株)で分析

各地での事例各地での事例補完分析


EC0.6の内、硫酸イオンが約半分を占めておりEC・pH測定だけでは肥料成分が残っていると勘違いしてしまう。その後の培養液管理にも影響を与えてしまうので、硝酸イオンメーターで窒素量を、または補完分析にて全成分を見ることが大切となる。

改善前 イチゴ(S県高設栽培・ヤシガラ)

原水の分析データは表中に記載してあるが、カルシウム、硫酸イオンが多く含まれいる。配合肥料にも硫酸イオンが含まれているので組成バランスが高くなり、前ページのように排液中に多量の硫酸イオンが蓄積されたと考えられる。また、微量要素もやや少なめで施肥されている。

改善前 イチゴ(S県

改善後 イチゴ(S県高設栽培・ヤシガラ)

原水中に硫酸イオンが多く含まれており、排液中にも蓄積が見られたので硫酸イオンがほぼ入っていない配合肥料を選択することで、硫酸イオンのバランスを是正。また、カルシウム硝酸マグネシウムを投入、ECを上げることによって是正し、MEPO-6(複合微量要素)を追加し微量要素濃度の調整を行った。

改善後 イチゴ(S県


培養液の組成バランスを崩さないために培養液の組成バランスを崩さないために、使用原水・排液培養に合わせた施肥設計を組むことお薦めします。アグリワークス社は作物に合わせた施肥設計を提案させていただきます。